土壁のようなキャンパスに描かれている絵に惹きつけられていました。これは、インドの【ワルリー画】です。数年前から行ってみたかった美術館にやっと行ってきました。
それは、新潟県十日町駅から車で約15分の山奥にありました。自然に囲まれ、雪に囲まれ、ヒマラヤスギがシンボルツリーの美術館は、廃校になった小学校をそのまま大自然のなかに残しながら、インドから描き手さん自身がここに滞在しながらながら作品を描いたり作成する場にもなっていました。
ミティラー美術館とは?
ミティラー美術館は、新潟県十日町市にあるインド芸術専門の私設美術館です。館長は音楽家でもある長谷川 時夫さんです。
ここ新潟県十日町市の豪雪地帯にある大池集落に定住しながら、自然豊かな環境の中で暮らしつづけ、感覚を研ぎ澄まし、生き物たちや月や太陽、宇宙と共感しながら生きていらっしゃいます。
大池地区におけるリゾート計画への対案として廃校になった小学校を利用した「宇宙観に基づく社会教育」を提案され、それが自治体に受け入れられ、やがてミティラー美術館へと発展していったそうです。
伺った日は休館日でしたが、連絡をさせていただいたところ館内を観させていただけることになりました。その節はありがとうございました。
シンボルツリーでしょうか?ヒマラヤスギにも惹き寄せられました。しばらくこの木の周りでまったり(笑)
2023年の雪は例年より少ないそうです。十日町は豪雪地帯なので、例年ですと4mくらいの雪がふることも…。しかし、道路の除雪は行き届いています。
雪国は電車もパワフルで、ほくほく線に何度乗っても、小さな子どもと一緒に運転手さんの近くで景色を見ています。トンネルを抜ける瞬間がたまらないのです。
こんな場所にミティラー美術館はありました。
インドの【ミティラー画】【ワルリー画】【ゴンド画】とは?
インド帰りの若者が持ってきたミティラー画の中のガンガー・デーヴィーさんの絵に長谷川さんは惹かれたそうです。その後インドのマトバニに行かれ、ガンガー・デーヴィーさんに会われています。
この美術館には現代インド美術・絵画類か展示されていますが、特に北インドからネパールの一部にまたがる細密画の技法、ミティラー画の影響を受けた繊細な素晴らしい作品が多数展示されています。
絵画は写実的なものでもなく、完全に抽象的でもなく、ヒンドゥー教の影響の濃い神々や自然を題材に、幾何学模様化された細かな線で描いたものが多いようです。
- ミティラー画とは?
英語:Mithila Painting ビハール州ミティラー、マドゥバニー県とネバールのジャナクプル地方に伝わるインド画の1様式のこと。そして、地理的にはおおむね、ゴーダマ・ブッタとマハーヴィーラの誕生地とされている地域にあたるそうです。
ミティラー 地図画像はサイトからお借りしています。
ミティラー美術館内の絵画「チャクラ(ヴィシュヌ神が持つ円盤)」ミティラー画コレクションのなかでも人気が高いゴーダーワリー・ダッタさん作です。SHOPで販売されているおしゃれなトートバックの絵にも使われています。
- ワルリー画とは?
インド西部のマハーラシュトラ州ターネー県に居住する先住民族ワルリー(インドに住む500に及ぶ部族のひとつ)によって描かれる壁画。
ワルリー族は農耕で生計をたて、季節的に漁労や狩猟に携わる人々もいるそうです。森羅万象に精霊が宿ると考え、万物を育む女神を拝みます。素朴な生活と精神によって描かれる独特の様式を持っています。
米をすりつぶし水を混ぜただけの真っ白な絵の具と竹を削ったペンを用いて、赤土を塗った壁に、繊細でリズミカルな線描と三角形や矩形(かねがた)、円などの組み合わせにより展開される自然との畏敬に満ちた交感の世界。 ワルリー
たくさんの絵葉書にもなっていますよ。購入してきた中の一枚はすでに知り合いのもとへ…
なぜ自分がこのワルリー画に惹かれたのか少しわかった気がします。
- ゴンド画とは?
インド中央部のマディヤ・プラデーシュ州近郊に住むパルダーン・ゴンドという先住民族が描く絵。バーナーという弦楽器を弾き、歌うことを通して自然に中に宿る神々を降臨させることを生業としていたそうです。民族に伝わる神話や寓話、森に住む動植物を描いたモチーフの中に敷き詰められる繊細なパターン模様が主な特徴です。人や動物たちが1枚の絵の中に共生する構図、ユニークな生きものたち、色彩のコンビネーションの多様さ、パターン模様も美しく…
実は数年前にこの絵本を知り合いのお子様にクリスマスプレゼントとしてお送りしましたが大人の私が部屋に飾っておきたくなるほどおしゃれにも感じる素敵な絵本でした。
絵本では水の中の生き物シリーズをよく見ていたのですが、ここミティラー美術館には水の中の生き物以外の絵もありました。ネット上ではゴンド・アートとして素敵な絵本がたくさん出ているようですね。
埴輪かと思った!たくさんのテラコッタもありました!
ここでは、現地アーティストが数か月滞在しながら作品を手掛けているそうです。テラコッタもです。たくさんのテラコッタを鑑賞させていただきました。ここで生まれた作品たちは、インド本国でも見ることができない貴重な作品、ここで制作活動をされているのですから…
写真にありますが、ここで作られたテラコッタは日本の土で作られています。瀬戸、青森、御所川原の土だそうです。人類の生活と古くから関係してい陶器。大地は母なる神といわれ、陶工は宇宙の創造者と言われる地方もあるそうです。
ところどころに気になるものが写り込んでいますね…。ブルーシートやバケツなどは光が作品に当たらないようにするためだけでなく、雨漏れ対策で置かれています。
気になる青いもの
伺ったときには長谷川さんは雪かきで忙しそうでした。そして、建物内は老朽化のため雨漏れがところどころにあり、バケツが置かれていました。サイトを確認するといろいろなボランティアを募集しているようです。
私自身は拝観料の他にポストカードの代金と心ばかりのドネーションをさせていただきましたが、サイトから寄付もできるようです。
美術館活動継続のためのご支援をお願いいたします。
1982年より廃校になった旧大池小学校を利用して美術館活動を行ってきました。これまで 2004年の中越大震災、2011年新潟・長野県境地震、毎年3-4mの積雪にも負けず美術館を維持・管理してきました。
たとえ小さな美術館でも一堂にきちんと集めればいつか世の中の役に立つのではと考え、収集、調査、展示を継続し、1988年以降は本国より描き手を招待し、日本各地での展覧会の他、美術館に滞在(アーティスト・イン・レジデンス)して作品が生まれていきました。この制作活動を通して、日本でミティラー画およびワルリー画等の創造的で人々を感動させる新しい作品が生まれることになっていきました。これらはインド本国でも見ることができない貴重な作品となっています。
一方で、建物は震災や大雪、長年の老朽化によって、様々なところに傷みがみられます。限られた人員、ギリギリの経営状況で、屋根の雨漏りもスタッフが自ら屋根に登り懸命に直してくれています、完全には直しきれません。館内では作品に透明なシートをかけたり、桶を置いている状態が長く続いています。
みなさまから美術館活動継続のためのご支援を頂ければ幸いでございます。
https://mithila-museum-shop.square.site/fund (寄付の受付)
最後に…
東京や他でも出張展示会が行われています。私は池袋などに見に行ったことがあります。しかし、今回新潟県十日町市まで伺い、直接この美術館全体の作品を観させていただきました。雪国らしく冬の間はひっそりとじっと、でも力強くそこに息をひそめている感じもしました。
緑の季節になり、またアーティストたちが制作に来るかと思います。そんな季節にも伺ってみたいです。大自然を背景にまた違った印象を持つかもしれません。
恒例のナマステインディアにも会場で制作活動をする様子を写した写真がアップされていました。作品に興味を持たれた方は、ぜひ、ミティラー美術館まで直接足をのばしてみてくださいませ!
アクセス
【利用案内】
入館料:大人500円、中学~大学生300円
開館時間:午前10時~午後6時
休館日:火曜日(祝・祭日の場合はその翌日)
【交通案内】
東京方面より:
上越新幹線越後湯沢下車→ほくほく線十日町駅下車→タクシー(15分)
JR飯山線十日町駅下車→タクシー(15分)
JR上越線長岡駅下車→越後交通バス(約1時間)本町3丁目下車→タクシー(15分)
関越自動車道:東京方面より六日町インターで降り、十日町方面へ
関越自動車道:新潟方面より越後川口インターで降り、十日町方面へ
新潟交通高速バス:新潟より2時間20分→本町3丁目下車→タクシー(15分)
ほくほく線:十日町駅よりタクシー15分 または 美佐島駅よりタクシー7分
Mithila Museum
ミティラー美術館
〒948-0018 新潟県十日町市大池
TEL:0257-52-2396 FAX:0257-52-6076
E-mail: info@mithila-museum.com
公式サイト:https://mithila-museum-shop.square.site/
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